働く時間ではなく役割で評価する仕組みづくり〜「時短勤務は肩身が狭い」を考える〜 その1

実践&事例


「時短勤務は肩身が狭い」こんなことを聞いたことはないでしょうか。
育休からの復職を考えたときに、当然働き方も決めていきます。その中で、時短勤務を選択したいが、時短勤務は肩身が狭い。こんな状況で生まれてくる言葉です。
これは「働く時間の長さで頑張りや貢献をはかるようになっているからではないのか?」そんな疑問の投げかけから、実際の打ち手までを全2回に分けてお届けいたします。

目次

「時短勤務は肩身が狭い」を考える

「時短勤務は肩身が狭い」皆さんは感じたことがあるでしょうか?
同僚や上司がまだ働いている中で、先に帰らなくてはならなくて申し訳ない。こんな心情も思い浮かびます。
なぜこういう感情を抱えてしまうのか?なぜそう思ってしまうのか?というポイントを考えてみましょう。

この「時短」という言葉の裏側に、“通常の働き方よりも劣った働き方”だと捉えている心情がありませんか?”劣った”というと、言葉も強く、あまり良い言葉ではありません。無意識のうちに”劣った”と自分で考え、もしくは周囲からそんな空気感を感じ取った時に、肩身が狭いという感情が沸き起こってくるのではないでしょうか。

どうしてそういう感情を持ってしまうのか?
一つは、働くことにおける「スタンダード」があって、そのスタンダードが8時間勤務プラス残業前提の働き方になっていませんか。長時間働けることが偉い、優位である考え方や、空気感のことです。これと対比させて、申し訳ない、もしくは肩身が狭いという感情を持ってしまうケースが該当します。
長時間働けることが偉い、優位であるといった感覚や空気はどこから来るのかというと、働く時間の長さが仕事の頑張りの表れであり、仕事への誠実さの表れであり、最終的には仕事への意欲の表れである。つまり、これらを測る物差しが「時間」ということです。
こういう感覚は、転勤も同じです。会社都合で、言われた通りに転勤ができることが会社への忠誠心の表れである、その対価として昇進や待遇があるというシステムです。
長時間働けることが偉い、優位である。転勤できることが忠誠心である。こんな感覚や空気感が「肩身が狭い」の裏側に存在します。

もう一つは、「みんな大変だし忙しいのだから一緒に苦労すべき」といった、同調圧力です。一緒にその苦労ができないことで、申し訳ない、肩身が狭い感覚を持ってしまうケースが該当します。

みんな忙しい、みんな大変、みんなで苦労するべきだから、同じように苦労するべき。長時間働くことが前提であることも、肩身が狭い感覚に影響を及ぼしています。本来は、働ける時間や置かれた環境、価値観が違っても、活躍できるシステムが公平にあることが良い状態なはずです。

働く時間ではなく役割で評価する仕組み

働く時間の長さで、頑張りや貢献を計るようになるのは、なぜか?それは、

仕事の定義や役割の定義が曖昧になっており、
時間でしか評価ができない仕組みになっているから

ではないでしょうか。
チームの成果のために、自分がどんな役割を担うのかが明確になっている必要があるということです。 職場の仕事の定義は、曖昧なケースが多々あります。例えば、営業職であれば、この営業という二文字で仕事の定義がまとめられています。本当はもっと色々な役割がチームの中に存在していないでしょうか?
“営業”を役割で分解すると、

  • 顧客とコミュニケーションを取り商談機会を創出する役割
  • 顧客と対面で会い、ニーズマッチングや提案を行う役割
  • お客様にいかに満足して長く顧客でいていただくためのコミュニケーションを取る役割

こんな具合です。
言い換えると、何をどこまで、どのレベル感でやれたらいいのか。仕事をするに際しても、何に最も集中して時間を使えばチームに一番貢献できるのか。これについて明確に定義をし、上司とメンバーでよく認識合わせができている状態が必要です。
役割が明確だと、限られた時間だったとしても、その時間の中で力を入れるべき事が明確になります。働く時間が短くても、成果に集中でき、その中で工夫もし得るのではないでしょうか。
そういった仕事との向き合い方ができると、時間の短さがチームの中での制約でなくなります。 一方で、「空気を読んで仕事をして」という状況になってしまうと、とにかく何でも頑張るほかありません。本来力を発揮する必要の無い方向に取り組んでしまい、個人としては頑張っているのに全然評価されないというような、残念な結果につながってしまう。こういった状況は避けなければなりません。

もしも仲間が力を発揮できていないとしたら、それは評価軸が足りないからだ。

株式会社ユーグレナ 代表取締役 出雲充氏のメッセージから引用

時間という評価軸しかないとなると、長く働けない人は力を発揮できないし、かつ評価もされません。そのため、時間という評価軸ではなくて、役割を定義し、役割に向けてどれだけ集中できたか、どんな工夫ができたかという点を評価していく。こういった仕組みを作る必要が出てきたということです。

まとめ

「時短勤務は肩身が狭い」
なぜ肩身が狭いと感じるのか、この要因を分解しながら自身の立場から考えていきましょう。
当事者であれば、

  • そもそもチームの成果は何?
  • この仕事の目的は何?
  • その中で、自分の役割は何だったら一番チームの成果や仕事の目的に貢献できるか?

上司であれば、

  • チームのメンバー、一人ひとりの役割を明確にする
  • 一人ひとりと役割について対話の機会を設け、合意形成をする

このような、それぞれの視点で、まずは対話をしていきましょう。
役割を定義する活動を通じ、肩身の狭さを感じさせない空気や文化を作っていくことで、仕事のパフォーマンスは上げていくことができます。

今回は、「時短勤務は肩身が狭い」を、働く時間ではなく役割で評価する仕組みづくりという点で考えてみました。具体的な仕組みづくりについては、「働く時間ではなく役割で評価する仕組みづくり〜期待役割の明確化〜 その2(2021年10月15日公開)」でお届けいたします。


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