【HRライブ開催報告】「組織と個をデザインする、新時代の人事の歩き方」~「だから人事は面白い!」変化を乗りこなすヒント~

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今回は10月11日(火)にオンラインで開催した、第1回HRライブのレポートをお届けします。テーマは「組織と個をデザインする、新時代の人事の歩き方~「だから人事は面白い!」変化を乗りこなすヒント〜」です。 

初回ゲストにお迎えしたのは、株式会社YeeY 共同創業者・代表取締役/アステリア株式会社 CWO(Chief Well-being Officer)の島田由香氏。あまねキャリア株式会社代表取締役の沢渡あまね氏と、これからの人事を考える様々なテーマについてお話しいただきました。ファシリテーターは弊社取締役の小田木朝子が務め、あえて事前にアジェンダ細部は決めず、生のトークからテーマへの解を編み出す形式で実施!また、イベント進行中は随時、参加者の皆さまにチャットで発言していただきました。終始笑顔が絶えない、ポジティブな空気でいっぱいの200%ライブ型イベントとなりました。

目次:

組織と個の関係性が変わる  

時代の流れに伴い「組織と個の関係性」は確実に変化しています。島田氏と沢渡氏はどのような変化に着目しているか、そして、今後どのような組織や個人が求められるのかについてお話しいただきました。

実際にお話を聴きながら、その場で小田木が資料に落とし込む形式で実施 

働き方、アルムナイに対しての考え方、雇用イメージの変化

ー島田由香氏

これまで会社員は「ひとつの企業に属し、そのオフィスで、その仕事をする」ことが当たり前でした。しかし、今は副業や業務委託もオープンになり、さらにはリモートワークやワーケーションという場所にとらわれない働き方も広がっています。 

また、以前はアルムナイ(=企業の卒業生)は「退職=裏切者」のように思われがちでした。しかし、現在は退職後も仕事上のつながりを持ち続けるケースや、場合によっては復職することもあります。そして、「雇用」という言葉のイメージは、会社に「個人が要される」という「個要」に変化しています。個人の得意や専門性を生かす仕事で、「あなただから参画してほしい」というニュアンスですね。 

これらの変化から、もう企業に個人が従う関係性ではなくなってきています。選択肢が広がったことで、組織と個が対等な関係になりつつあるのです。 

組織内、過去、縦のつながりに答えがない

ー沢渡あまね氏

将来の先行きが不透明な中、さらにコロナ禍で私たちの働き方や生き方は大きく変化しました。今後は過去の成功パターンに固執せず、世の中と対話しながら、自分たちなりの「新しい勝ちパターン」を生んでいかなくてはなりません。そのために、他業界・他業種といった外の世界とつながることが有効です。アップデートや価値創造のために、「越境」が必要なのです。 

今後「ヒマな会社、ヒマな人」が求められる

ー島田由香氏

「暇」というのは、気持ちや頭、スケジュールなどに、スペースや余裕があるという意味です。スペースには、宇宙という意味もありますね。物事は、ひとつの事象ではなく様々なつながりの中で、動いています。スペースを持つことで、大局観を持てるのが良いと思います。 

また、「ヒ」「マ」と分解して、それぞれの意味もあります。「ヒ」=「引き出す」で、相手の中にあるものを引き出し、一見良くないと思える事象からも何かしらの学びを引き出すことが求められます。「マ」=「前向きに考える姿勢を持つ」で、リスクを考慮しながらもやる気をもってより良く考え、行動していけることが大事ですよね。 

「変化の今」だからこその“人事の難しさ”とは? 

時代が変化しているからこそ、人事制度や人材育成は今まで通りにはいきません。次は、人事の難しさとは何かをお話しいただきました。 

資料枠内に収まらないほど、はずむ島田氏と沢渡氏のトーク 

今まで通りに行かない面白さ!人間はシンプル!エブリバディ人事!

ー島田由香氏

まず、人事の「難しさ」と表現せずに「面白さ」と捉えられると思います。私は人事が宇宙イチ楽しい仕事だと思っています。頭を抱えることもたくさんありますが、それを面白いと思いながら、やってきました。 

もう人事の仕事は、過去の成功体験をベースにやろうとしても、うまくいきません。これからは情熱と想像力を持って、つくりたい未来に向かって動いてほしいですね。そして本来、人間はとてもシンプルなもの。それなのに、私たちが自ら、人間関係を複雑に捉えてしまってはいないでしょうか。 

人事部だけでなく、人に関わる誰もが「人事」です。そのため、部署や仕事を越えて、自分で状況を変えていく前向きさを持ってほしいです。問題が起きると、他人や環境のせいにしてしまいがちですが、それでは解決できません。たとえ言い訳はしても、「さぁ、この後自分はどうする?」と考えられるかどうかで、状況は変わっていきます。 

正解探し、権限、完結を手放す

ー沢渡あまね氏

これまでの終身雇用制度では組織が社員のキャリアを考え、人事が答えを用意しなければなりませんでした。社員は会社の言うことをきくことで、幸せが約束される社会構造が強かったのです。しかしこれからは、会社が個人の幸せに責任を負いすぎることなく、あくまで人事は個人がキャリアを築く支援的立場になる必要があります。 

また、人事はこれまで採用・配置などの権限を持ち過ぎていました。これからは、もっと現場にエンパワーメントしていくべきです。エンパワーメントとは、まさに相手を信頼する行為周りに権限や情報を渡すことで、各自が自立して動きはじめ、その先にあるものがアップデートです。そして、相手に任せた分浮いた余白で、次、自分は何をしていくのか?というチャレンジと表裏一体でもありますね。 

これからの人事が期待される役割&面白さ 

最後のテーマでは、これから人事はどのようなアクションをとれば良いか、お話しいただきました。 

これらのアクションの中から、まずはひとつアクションを起こしてほしいと呼びかけた 

人事はエネルギーセンター

ー島田由香氏

人事の仕事というのは、すべて「人」に関わることです。人間の感情や失敗、色々な面を見ますし、様々なことが起きます。でも「それでいいのだ」と、自分にも他人にも許可を出しながら、寛大な心でいることが大事です。 

そして、組織は人事の状態で決まります。いわば、人事が組織のエネルギーセンターなのです。だから、人事は自分自身のウェルビーングに責任を持ち、自分ファーストで、まずは自分が満たされた状態でいてもらいたいです。人事部は他部署から敬遠されることが多い。でも、周りから色々言われるのは、皆が関心を寄せている証。最初は批判的な意見を持った方とも、対話をする中で、最終的には一番の応援者になってくれた事例は今までたくさんあります。だから、人事部には、エネルギーで満ちていてほしいと思います。そして、最終的には敬遠されるのではなく、求められる部署であってほしいです。 

最後に、どのような状況でも、前向きにリフレームして、楽しむことです!私がユニリーバに入社した当時、どんな問題を報告しても、いつも笑って「ノープロブレム!」と言ってくれたインド人の上司がいました。本来、悪い事象は言いにくいものですが、いつも彼がそう言ってくれたことで、大丈夫だと思えました。「ノープロブレム」はマジックワードですね。 

越境、変化、プロデュースを愉しむ

ー沢渡あまね氏

これまで400以上の組織を見てきましたが、アップデートできない組織は対話が足りていません。だから人事こそ、立場をうまく利用し、経営や現場、社会と対話をしてください。様々なステイクホルダーと対話する「越境」を通して、新しい人事像を見つけてほしいです。そして、自ら変化を仕掛けて、それを楽しむこと。また、組織のプロデューサーとして、社内の人同士や、社内と社外の人をつなぐ存在になってほしいと思います。 

最後に

 今回のライブイベントでの内容をまとめたもの 

トークイベントは大変盛り上がり、90分間があっという間でした。最後に、おふたりから参加者の皆さまに向けて、一言ずつメッセージをいただきました。 

沢渡氏は、これからは「ファシリテーター+リーダー」の「ファシリーダー」という役割を提言。これは、問題に直面しても解決の道筋を考え、実行し、チームのメンバーをリードしていく人のことです。そして「人事こそ、ファシリーダーを目指そう!情熱を持って、周りに影響を与えながら、未来を切り開いていきましょう!」と熱いエールを送りました。 

島田氏は、まずは自分の使う言葉を変えることを提案。まずは「~しなければならない」を「~したい」に言い換え、さらに「~する!」と決めることで、本当に人生が変わると言います。そして、一番のメッセージは、「エネルギーセンターであろうよ!」と、明るく締めくくりました。 

今回のイベントでは、人事部の方だけではなく、人材育成や組織開発に関わる全ての方々にお役に立てるメッセージをお届けできたと思います。ご参加いただいた皆さま、ありがとうございました。是非、毎月NOKIOOがお届けする90分腹落ちセミナーもお楽しみに! 


成果を出す組織作りのためには、人材育成は必須です。株式会社NOKIOOでは、戦略的人材育成プログラムによる法人向け研修サービスを提供しています。これまで、幅広い業界の企業を対象に、管理職育成・チームの仕組み改善・女性活躍など、多岐にわたるテーマでの研修を実施してきました。人材育成にお悩みの人事部の方は、ぜひ一度、私たちにご相談ください。 

<ゲスト> 島田 由香 氏
株式会社YeeY 共同創業者・代表取締役/アステリア株式会社 CWO(Chief Well-being Officer)

慶應義塾大学卒業後、パソナを経て、米国コロンビア大学大学院にて組織心理学修士号取得。日本GEにて人事マネジャーを経験し、2008年ユニリーバ・ジャパン入社。2014年より取締役人事総務本部⻑に就任。人のモチベーションに着目し「WAA」など独自の人事施策を多数実行、同社はForbes WOMEN AWARDを3年連続受賞した。2017年に株式会社YeeYを共同創業し代表取締役に就任。マーティン・セリグマン博士やエド・ディーナー博士、タル・ベン・シャハー博士などウェルビーイング研究の世界的権威を招聘したカンファレスを行うなど、日本企業や社会のウェルビーイングリテラシー向上に貢献。企業の経営支援や人事コンサルティング、組織文化の構築支援などを通じて、日本企業のウェルビーイング経営実現に取り組んでいる。自身も1年の半分近くをワーケーション先で過ごすなど地域活性に情熱を燃やし、地方自治体の組織コンサルティングやワーケーションなどのコンテンツ開発支援、地域住⺠のウェルビーイングを高める仕組みづくりを行う。また、内閣官房行政改革推進会議有識者議員をはじめ、内閣府、総務省、林野庁、観光庁などにも有識者として招聘される。日本の人事部「HRアワード2016」企業人事部門個人の部最優秀賞。「国際女性デー|HAPPY WOMAN AWARD 2019 for SDGs」受賞。Team WAA! 主宰、Delivering Happiness Japan代表/チーフコーチサルタント、Japan Positive Psychology Institute 代表。


<講師> 沢渡 あまね 氏
あまねキャリア株式会社 代表取締役CEO/なないろのはな 取締役/株式会社NOKIOO 顧問

日産自動車、NTTデータ(オフィスソリューション統括部)、大手製薬会社などを経て、2014年秋より現業。情報システム部門、ネットワークソリューション事業部門、広報部門などを経験。現在は企業の業務プロセスやインターナルコミュニケーション改善の講演・アドバイザー・執筆活動などを行っている。NTTデータでは、ITサービスマネージャーとして社内外のサービスデスクやヘルプデスクの立ち上げ・運用・改善やビジネスプロセスアウトソーシングも手がける。これまで300を超える企業・自治体・官公庁で、働き方改革、マネジメント変革、組織改革の支援および経営層・管理職・中堅人材の育成も行う。これまで指導した受講生は4,000名以上。 著書「新時代を生き抜く越境思考」「バリューサイクル・マネジメント」「職場の問題地図」「マネージャーの問題地図」「職場の科学」ほか多数。


<講師> 小田木 朝子 氏
株式会社NOKIOO 取締役/経営学修士

ウェブマーケティングの法人営業などを経て、NOKIOO創業メンバーとして参画。教育研修事業担当役員。2011年、中小企業診断士資格取得。2013年、自身の経験を活かし女性の社会参画支援事業『ON-MOプロジェクト』を立ち上げ、会員6,000名を超えるネットワークを育成。2016年12月『一般社団法人 育勉普及協会』を設立。2020年、オンライン教育サービス『育休スクラ』を立ち上げ、経験学習による人材開発・オンラインを活用したキャリア開発とアクティブラーニングを法人・個人向けに提供。グロービス経営大学院修了。
著書「人生の武器を手に入れよう!働く私たちの育休戦略」「仕事は自分ひとりでやらない」。
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●アクティブ・ブック・ダイアローグ®認定ファシリテーター

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