育休者向けオンラインスクール “育休スクラ”の講師 小田木朝子さんに聞く、「育児を制約にする働き方、制約にしない働き方」

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初めての育休。“何かスキルを身につけないと”と、資格取得に没頭したり、育休者向けコミュニティに参加したり、復職に向けて“今までと同じように仕事ができるように”と、様々なことに取り組まれる人も多いのではないでしょうか。
性別に関わらず育休を取得することが叫ばれる昨今、この育休と復職、そして仕事と育児の両立をどう考えるのか、育休者向けオンラインスクール「育休スクラ」の講師も務める、小田木朝子さんのエピソードも交えながらお届けいたします。

目次

  1. 育休復帰後1ヶ月で上司に泣きついた話
  2. 復職時の泣きを冷静に分析
  3. 仕事に投じる時間が減る影響
  4. 育児を制約にしない働き方のヒント
  5. まとめ
  6. 参考書籍について
  7. 男性育休がホットワード!無料セミナーのお知らせ

育休復帰後1ヶ月で上司に泣きついた話

株式会社NOKIOO 取締役 小田木朝子

「これ本当に無理だ」と思って、上司に「頑張ってはるいるけれども、どうしようもないんです。これ以上仕事できません」と言葉の通り、泣いた記憶があります。


仕事が好きで、出産をしてもこれまでと変わらず楽しく仕事をしていきたいと考えていた小田木さんは、第一子の出産を経て復職し、たった1ヶ月で「もうこれ以上無理だ」というところまで追い込まれていました。

第1子出産前後の女性の就業継続率は53.1%。出産後退職を選択する割合は46.9%にも登ることから、出産・育休・復職という、この大きなイベントに際し、様々な困難が立ちはだかっていると言えます。
まずはこのエピソードを冷静に分析してみましょう。

出典:国立社会保障・人口問題研究所『現代日本の結婚と出産:第15回出生動向基本調査(独身者調査ならびに夫婦調査)報告書』



復職時の泣きを冷静に分析

そもそもの”泣き”の要因はなんだったのでしょうか。
一言でまとめると、
「今までのやり方で、仕事をやろうとしてしまった。」
この一言に尽きるかなと思います。

株式会社NOKIOO 取締役 小田木朝子

第一子出産時に法人営業の仕事をしていました。
営業職ですので個人の営業成績に予算がついており、時間内に終わらない分は残業でカバーするっていう働き方が私のスタンダードでした。受注が立て込むと、当然仕事に投じなきゃいけない時間も増えるんですよね。なので「数字を上げる=投入時間を増やす」っていう考え方に疑問も持たず仕事をしていました。


そういう状況が復職後に一変していきます。
これまで通りに仕事をしようと思うと時間が足りない。
これまでと同じ結果を出そうとすると、圧倒的に時間が足りない。
そして時間通りに仕事を終えようとすると、これまで通りの仕事ができない。

株式会社NOKIOO 取締役 小田木朝子

冷静に考えたらその通りですが、この状況を想像以上に自分でも受け入れがたくて。そして、育児と仕事の両立も初めてじゃないですか。どうして良いのか分からないとか、頑張っているのにうまくいかない。 両方やろうと思って、むしろ出産前よりも頑張っていたと思います。


そんな状況から、これ以上は頑張れないとあっという間に疲弊し、「もう無理です。これ以上仕事頑張れません」と泣きを入れることになってしまったというわけです。

仕事に投じる時間が減る影響

その時何があれば良かったのかを考えていきたいと思います。
時間が減ることの影響は、人によって異なります。
例えば、

  • 減った時間の分だけ成果が出せない、パフォーマンスが落ちる
  • チームの中で役に立てているか、貢献の時間が減った
  • 今まで味わえていた仕事での達成感が減った
  • 成長できている実感が減り、やりがいが感じにくい
  • 成果が出せない 働く時間がチームの中で自分だけが減ることで、手にできる機会が減った

いずれにしても、仕事を続けることへの満足度に影響する、深刻な問題です。
仕事に投じる時間が減ることの影響に気付くこと、そしてここからどうすれば良いのでしょうか。

株式会社NOKIOO 取締役 小田木朝子

資格を取ろうと思って、今までなかった知識をプラスオンして復職したんです。でも、この時に本当に欲しかったのは、知識だけではなくて、もっと根本的なものが必要だったんだなと今にすると思います。


育児を制約にしない働き方のヒント

1つ目は、

時間でカバーして、1人で抱え込む働き方が
もはや限界だと気付く

育休前と同じように、時間でカバーし1人で抱え込む働き方をすると、結局のところ育児を制約にしてしまいます。 復職後は「自分が頑張るべき」とひとりで抱え込んではいけないし、減った分の時間をこれまでの仕事のやり方のままがむしゃらにこなして埋め合わせようとしてはいけないということです。

株式会社NOKIOO 取締役 小田木朝子

時間が減ることでパフォーマンスを落としてしまい、「時間が減る=自分が役に立たちにくい」っていう実感を持っていました。 子供が大事であるってことは微塵も変わらなかったのですけれども、仕事においてはとんでもないハンディキャップを背負ってしまったみたいな、そう思い込んでしまったんです。この感覚にとらわれてしまうということ自体が「育児を制約にしてしまう働き方」だったし、そういう考え方をしていたんだなって、今にしてみると思います。

2つ目は、

出産というのは、
これまでの1人で抱え込んで時間を投じることで
なんとかしてきた働き方を変えるチャンス

まずは、考え方を変え、これまでの働き方を変えるチャンスだとスタートにすることが必要です。
それによって仕事そのものの質を上げ、時間当たりの生産性をも変えていく。
仕事をしている中で感じられる楽しさを変えていきましょう、ということです。

まとめ

今まで通りの働き方ではいけない、時間で何とかしようとしてはいけないという法則があるので、私たちは賢く備えることができます。
そして目指すのは「育児を制約にしない」働き方。 つまり1人で抱え込まず、かつ時間でカバーしないで成果をあげていく働き方にシフトすることです。

育児を制約にする働き方とは、

「1人で抱え込んで、時間で何とかしようとする働き方のこと」であり、
今後目指したいのは「1人で抱え込まず、時間で何とかしなくても成果の出る働き方にシフトしていく、育児を制約にしない働き方」

まずはこの考え方を持つことからスタートです。

株式会社NOKIOO 取締役 小田木朝子

皆さんと一緒に育児を制約にしない働き方にシフトして、実践して出産前よりももっと楽しく仕事をする、仕事の楽しさの実感値や成長の実感値が以前よりもさらに上がるっていうところを一緒に目指していけたらなあと思います。


参考書籍について

働く私たちの育休戦略

働く私たちの育休戦略

私たちの働き方は本当によくなったのか?
DX、SDGs、イノベ―ション、ダイバーシティ、女性活躍推進、エンゲージメント、エンプロイアビリティ……個々のキーワードや施策が自己目的化、「仕事ごっこ」化していないか?新しい時代へアップデートしていくために本当になすべきことを、累計25万部・問題地図シリーズの生みの親が集大成。一企業だけ、一部門だけ、一個人だけの努力では成し遂げられない価値創造へ踏み出すための、変革の教科書。




株式会社NOKIOO 取締役 小田木朝子

小田木 朝子
株式会社NOKIOO 取締役/経営学修士

ウェブマーケティングの法人営業などを経て、NOKIOO創業メンバーとして参画。教育研修事業担当役員。2011年、中小企業診断士資格取得。2013年、自身の経験を活かし女性の社会参画支援事業『ON-MOプロジェクト』を立ち上げ、会員6,000名を超えるネットワークを育成。2016年12月『一般社団法人 育勉普及協会』を設立。2020年、オンライン教育サービス『育休スクラ』を立ち上げ、経験学習による人材開発・オンラインを活用したキャリア開発とアクティブラーニングを法人・個人向けに提供。グロービス経営大学院修了。
著書「人生の武器を手に入れよう!働く私たちの育休戦略」。
●音声メディアVOICYで「今日のワタシに効く両立サプリ」配信中 https://voicy.jp/channel/1240
●アクティブ・ブック・ダイアローグ®認定ファシリテーター



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