新型コロナウイルスの感染拡大や災害、自分や家族の病気やケガ、育児や介護、といった不測の事態と誰もが隣り合わせとなっています。不測な事態に左右されず成果を達成するには、個人で対応するのではなく、チームとして対応できる力を備えていることが重要です。ヘルプシーキング行動力は1人で抱え込まず、チームの成果を最大化するための技術であり、ビジネススキルです。今回はヘルプシーキング行動を実践出来る人の着眼点について、ヘルプシーキングを苦手とする人の着眼点と対比してご紹介いたします。
目次:
1.ヘルプシーキング行動を実践できる人の着眼点
ヘルプシーキング行動を実践できる人は、4つの着眼点を持っています。
着眼点1:仕事は連携するもの
- 実践できる人:仕事は連携し、チームで成果を出す
- 苦手な人:仕事は分担し、個人で成果を出す
ヘルプシーキングを実践できる人はチームの成果への貢献意欲を持ち、それを達成するために自分が何をすればいいかを考えます。
例えば、会議の議事録作成は、議事録を作成したとしてもチームの成果に直結することはありません。
「この議事録は本当に必要なのか?」
「もっと簡略化して他の業務に時間を充てられないか?」
とチームで議論すれば、効果的な会議の運営方法を知っている他のメンバーから聞き出すことができたり、新たに書籍や外部のセミナーで学ぶといった手法を選択できるかもしれません。定例会議の開催自体を見直すことに繋がることもあり得るでしょう。議事録作成業務を個人が担当する業務とするのではなく、疑問をチームで共有することで、チームの成果を効率的に上げる取り組みにもなります。
一方、ヘルプシーキングが苦手な人は割り振られた仕事は自分で完了させないといけない、他の人も忙しいのに助けてとは言えない、と相談したり助けを求めたりすることを躊躇してしまいます。議事録作成であれば、現状は忙しい中で議事録を作成する時間を確保していても、チームの他のメンバーがもっと効率的なやり方を知っているかもしれません。「自分の仕事は自分で完了させなければ」という思い込みによって、チーム全体の成果が損なわれる懸念があります。
着眼点2:判断スピードが速い
- 実践できる人:チームの成果を基準に素早く判断し、ヘルプシーキング行動を取り入れる
- 苦手な人:自分で業務を抱え込み、納期間近に助けを求める
ヘルプシーキングが上手な人は、チームで成果を出すという観点から、ヘルプシーキング行動を早い段階で取り入れます。
例えば、3日後にA社への企画提案が控えていて、自分が主担当で提案書を作成していたとします。ところが、B社より連絡を受け、急ぎの対応が必要となりました。B社も自分が主担当です。この時にどちらも一人で抱え込むのではなく、B社の対応を他のメンバーに依頼したり、A社の企画提案の日程を調整したりすることが素早くできます。
ヘルプシーキングが苦手な人は、どちらも自分で対応できると考え、A社の準備を止めてB社の対応に着手します。しかし、1人でどちらの対応も対処することができなくなり、A社への提案日時の直前でスケジュール変更を申し出たり、他のメンバーへ助けを求めたりと、納期間近になって慌てて行動します。
着眼点3:言語化スキルが高い
- 実践できる人:困っていること、助けてほしいことを端的に説明できる
- 苦手な人:困っていること、助けてほしいことを説明できない
ヘルプシーキングを実践できる人は、「相手にどうしてほしいか」を具体的に説明することができます。
例えば、A社へ契約期間延長の提案をしているものの、反応が芳しくないとしましょう。このとき、助けを求めることができる人は「A社では複数の部門が当社サービスを活用しています。部門ごとに要求が異なり、契約延長に関して意思決定ができていないようです。そのため、契約延長に消極的なC部門への打ち合わせに部長も同席願えますでしょうか?」と、そこで何が起こっているか、相手に何をしてほしいかを明確に伝えることができます。
ヘルプシーキングが苦手な人は、「顧客とのコミュニケーションがうまくいっていない」と抽象的な表現で報告をします。具体的にどういう状況で、どんな問題が生じているのかを説明できないと、周りのメンバーも助けることができません。
着眼点4:感謝の気持ちを表現する
- 実践できる人:「助けてくれてありがとう」という気持ちを伝える
- 苦手な人:「助けてもらって申し訳ない」という気持ちで助けを求める
ヘルプシーキングを実践できる人は、「助けてくれてありがとう」と感謝の気持ちとともに助けを求めます。チームで成果を最大化するために、自分で抱え込むことはマイナスになってしまうと認識しています。
ヘルプシーキングが苦手な人は、いくつかの思い込みによって、助けてもらうことに後ろめたさを感じてしまいます。
「相手に迷惑をかけてしまう」
「相手も忙しい(だから頼ることはできない)」
「みんな頑張っているのに、自分だけ逃げるわけにはいかない」
「これは自分がやらないといけない仕事だ」
こういった思い込みがあることで、助けを求める行動にもブレーキがかかりますし、いざ助けてもらうときにも、「申し訳ない」という気持ちが先行してしまいます。
2.現状把握により工夫ができる
ヘルプシーキング行動を実践できる人と苦手な人の観点を対比しましたが、苦手な人が悪いということではありません。「どこに課題があるか」「何ができているか」を知ることで、チームとしてヘルプシーキング行動が上手になるための工夫ができるようになります。一つの工夫を行動にすることで状況が変わり、振り返り、また行動に繋げていくといったサイクルが回せるようになります。
3.セミナー・研修に関するお問い合わせ
株式会社NOKIOO法人研修サービスWebサイトにて、資料ダウンロードやお問い合わせいただけます。
参考書籍について
仕事は自分ひとりでやらない
仕事を抱え込まずに助けを求める技術 「ヘルプシーキング」の教科書
ヘルプシーキングとは、「一人で抱え込まず、周りに助けを求める」ビジネススキルです。
日本で数少ないヘルプシーキングの専門家であり、ヘルプシーキングを経営者、マネージャー、ビジネスパーソンなどに指導している小田木が、”仕事で周りを頼り、ヘルプを求めるためのスキル”を本書で初公開しています。
ヘルプシーキングを仕事で取り入れることで次のような効果が期待できます。
・仕事を一人で抱え込むことがなくなる
・個人はもちろんチームの仕事を効率的にできる
・助けを求めやすい人間関係や職場環境になり働きやすくなる
・仕事のスピードと質が上がる
・個人・チームで成果を上げやすくなる
・突発的なトラブルへの対処力が上がる
ヘルプシーキングは「助けを求めるのが苦手」「人に頼れる性格じゃないから」と思っている人が仕事のやり方を変えられる新しいメソッドです。
誰でも身に着けられる最強のビジネススキルとして、この本では考え方・やり方を具体的な事例とともにお伝えしています。