前回、「期待役割マネジメントによるチーム運営のヒント〜役割設定と対話で成果を上げるチームづくり 」では、組織課題における「期待役割」の重要性についてお伝えしました。人事制度に基づく評価制度を取り入れている企業は多い中、これまでとの目標設定と何が異なるのか、「期待役割」の具体的な設定方法について、本記事でご紹介いたします。
目次
1.「期待役割」を具体化する4つの論点
期待役割にどのようなことが書いてあるか、株式会社NOKIOOの事例を交えてご紹介します。
顧客からの受託開発案件でディレクションを担う方の期待役割は、「受託開発案件のディレクション」ではなく、担当メンバーの経験やスキル、業務上の期待も含め、例えば以下のように定めています。
●担当するプロジェクトのディレクターとして、タスク管理・工程管理のディレクションに加え、目標達成・KPI管理 のできるディレクションを担う。
●具体的には、目標に向けて適切なKPI設定をし、経過を管理しながら必要な打ち手を設計できるレベル。そのために適切な情報収集や問題発見、メンバーの巻き込みができること。
●運営チームで担うプロジェクト全体について、業務の標準化・効率化とその記録の蓄積やマニュアル作成を進め、チーム全体の業務レベルの向上に貢献する。
60~100文字程度の文章、3つから5つ程度で期待役割を表現しています。
「受託開発案件のディレクション業務」ではなく、それが具体的にどういう仕事であるかを書いていきます。書き出す際は、4つの論点を満たすようにします。
●仕事の定義
●実現レベル
●大事にしてほしいこと
●チームへの貢献方法
チームへの貢献方法について、上記事例のメンバーの場合は仕事を丁寧かつ効率的に進めることができるため、マニュアル作成等を通してチームへの貢献が期待されている、ということが読み取れます。
具体的に書き出すと、やるべきことが多く感じるかもしれません。一方で、強みを活かし、どうすればチームに貢献できるかが事前に示されているため、本人にとってもどこで力を発揮すればいいか理解した上で仕事に取り組むことができます。
2.組織・チームの期待役割から逆算して考える
管理職がメンバーの「期待役割」を設定する場合、メンバーの個別の役割から考えるのではなく、組織におけるチームの役割を定義し、自身がマネジメントするチームが目指す目標や課題を明確に上で、各メンバーの役割へ落とし込みます。
まずは、組織におけるチームの役割を定義することから始めます。
例えば、オペレーションチームであれば、組織の中での役割はオペレーションを遂行することだけではなく、構築や改善、スピードや正確性など事業内容や成長段階に応じた定義ができるかもしれません。
次に、チームの目標や課題を明確にします。
目標や課題は、事業計画等で予め提示されていることもありますが、その中における重点ポイントを軸に具体化していきます。例えば、オペレーションの改善でも、出来上がったオペレーションを標準化していくことを重視するのか、より生産性を高めるために効率化をさらに磨きこんでいくことを重視するかで目標やその評価軸となるKPIも異なります。
最後に、チームの期待役割や目標、課題に対して、各メンバーの期待役割を設定します。
チームは、異なるスキル・経験・強みをもったメンバーの集合体です。チームの期待役割を達成することができ、かつメンバーの強みを活かせるように、一人一人の期待役割を設定します。
3.対話が大事
期待役割は上司が設定して完成ではありません。設定した期待役割について本人と対話することで、お互いに認識を合わせていくことが大切になります。
期待役割を通じて「頑張ってほしいこと」や「頑張りたいと思っていること」を話し、合意することで、メンバーのパフォーマンスが最大化され、結果としてチーム目標の達成につながります。
期待役割を設定したら、上司と当事者の間で留めるのではなく、組織やチーム内で共有することで、チーム内の連携を促します。また、VUCA時代において、事業環境や個人の環境は日々変化するため、設定当初だけではなく、定期的に1on1を行い、必要に応じて期待役割を調整します。
本人とKPIも含め合意し、チーム内にも共有された期待役割だからこそ、評価に対するギャップも埋めることが可能となります。
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