上司と部下の面談。業務に関することからキャリアに関することまで様々な場面で実施されるのではないでしょうか。
中でも、復職面談においては、どのようなポイントを押さえて面談に望めば良いのかわからないといった声も聞かれます。復職面談とは、育休から復帰する際に上司と行う面談のことを指します。
抑えるポイントはキャリア面談全般にも通ずるため、今回は復職面談〜キャリア面談まで使える、面談のやり方をテーマとしてお届けいたします。
目次
残念な復職面談のケース
残念な面談。それは、「自分の話しかしない面談(物理的な要件しか伝えない面談)」ではないでしょうか。
復職時期や、復職後の勤務形態、勤務場所のみを伝えるケースが該当します。
例えば、
- 2020年10月から復職予定です
- 時短勤務で16時までの勤務としたいです
- 在宅勤務を併用しながらこういったワークスタイルで働きたいです
- 夫婦とも両親が近くにいないので、子どもの突発的な体調不良には自分が行かなければいけません。そういった場合は、配慮をお願いします
- これまでよりも残業や出張には、制約が出てしまいます 保活も一生懸命やっていますが、最終結果次第では復帰時期をずらしてもらう可能性が出てきます
配慮してほしいことや懸念事項を並べ、一方的に話をし、「そういうわけでご配慮よろしくお願いします」と依頼をする。これが面談が残念な面談と言えます。
復職面談のポイント
では、どうすればいいのか。
復職面談は、条件を伝える場、不安だとか懸念事項を共有する場ではないと考えてみましょう。もちろん、そういった情報も盛り込んで構いませんが、大切なことは仕事への想いをきちんと伝えて上司と共有する場であるということ。
自分の話以上に、職場の状況や、チームの方向性、今チームが抱えている課題感をきちんとヒアリングする、教えてもらう場であるという位置づけで、復職面談を捉えることがスタートです。
職場の状況や、チームの方向性、今チームが抱えている課題感をきちんとヒアリングする、教えてもらう場であることを前提にすると、どういった復職面談になるでしょうか。
まずは、いつ復職するか、復職後にどんな働き方をしていくか、物理要件を伝えましょう。その上で、次に仕事への希望や、想いを伝えます。
- 今の仕事にやりがいと愛着を感じていて、復職後もこのチームで仕事をしたい
- 次にこういった経験を積みたいので、機会を探している
- 復職後の勤務時間はこれまでよりも少なくなるが、その分どんな工夫をしようと思っており、上手くチームと連携を図りながら仕事をしていきたい
これが仕事への希望、想いです。その上で、懸念事項や不確実性があればそれも伝えつつ、懸念事項に対して備えていることもセットで話していきましょう。
その後、自分が話した分だけ、上司の話も聞くこともポイントです。
- 今、職場の状況はどうなっているのか
- チームとしての目標は何か
- 向かっている方向性、特に力を入れているテーマは何か
そういった中で、上司がどんなことを考えて、どんな心配や、課題を持っているのかを聞いていきましょう。
部下が話したいこと、上司が聞きたいことの差を埋め、対話する
こういった組み立てをする面談のメリットは、仕事への希望や、想いをきちんと伝えることができるという点です。「わざわざそこは言わなくてもわかるよね、分かって欲しい」と思うかもしれませんが、はっきり言わないと絶対に伝わりませんし、理解されません。
今、どんなことを考えているかということをきちんと上司と共有していくことで、自身に向けられる誤解やバイアスが解けるのではないでしょうか。女性であれば「子どもを産んだということは、仕事よりも家庭を大事にしたいに違いない」というようなバイアスです。どちらが大切かという話ではなく、両方大切だということを、きちんと伝えないと、伝わらないということを押さえておく必要があります。
そして、チームのこと、上司の課題、上司の見ている世界を聞いていきましょう。今後、限られた時間の中で、何に力を入れたらチームに貢献できるのかを知っておくことで、空回りをせず最適な頑張りをすることができます。チームのことや、上司の課題感を聴きながら、どうやって自分の時間や自分の仕事をチューニングしていくかということを自分なりに考え、上司との対話の糸口にしていく。これができることがメリットになると思います。
まとめ
復職面談のポイントは、
面談は双方の歩み寄りと対話です。自分のことを話す分、相手の話も聞くことが重要です。
もしかしたら、「そんな仕組みはうちの職場には無い」と言う人もいるかもしれません。これは、仕組みがあろうがなかろうが、自分からアポイントメントを取ることをお勧めします。面談という呼び方のハードルが高いようであれば、相談を持ち掛けましょう。
良い仕事をしたいという目標は、上司も部下も同じはずです。
こういった面談が産休前や復職前に上司と部下の対話の仕組みとして定着させ、双方が歩み寄って、話をするということは、結果としてチームのパフォーマンスを上げ、楽しく働くことに繋がっていくのではないでしょうか。
参考書籍について
働く私たちの育休戦略
私たちの働き方は本当によくなったのか?
DX、SDGs、イノベ―ション、ダイバーシティ、女性活躍推進、エンゲージメント、エンプロイアビリティ……個々のキーワードや施策が自己目的化、「仕事ごっこ」化していないか?新しい時代へアップデートしていくために本当になすべきことを、累計25万部・問題地図シリーズの生みの親が集大成。一企業だけ、一部門だけ、一個人だけの努力では成し遂げられない価値創造へ踏み出すための、変革の教科書。
小田木 朝子
株式会社NOKIOO 取締役/経営学修士
ウェブマーケティングの法人営業などを経て、NOKIOO創業メンバーとして参画。教育研修事業担当役員。2011年、中小企業診断士資格取得。2013年、自身の経験を活かし女性の社会参画支援事業『ON-MOプロジェクト』を立ち上げ、会員6,000名を超えるネットワークを育成。2016年12月『一般社団法人 育勉普及協会』を設立。2020年、オンライン教育サービス『育休スクラ』を立ち上げ、経験学習による人材開発・オンラインを活用したキャリア開発とアクティブラーニングを法人・個人向けに提供。グロービス経営大学院修了。
著書「人生の武器を手に入れよう!働く私たちの育休戦略」。
●音声メディアVOICYで「今日のワタシに効く両立サプリ」配信中 https://voicy.jp/channel/1240
●アクティブ・ブック・ダイアローグ®認定ファシリテーター
男性育休がホットワード!無料セミナーのお知らせ
【人事担当者必見!90分腹落ちセミナー】男性育休から考える”組織と個人の成長”
~今、人事担当者がおさえたい育休マネジメントの発想~
育児・介護休業法が改正され、来年の4月より、男性の育休取得推進に取り組むことが企業に義務付けられます。
男女に関わらず、育休の取得は当事者だけの問題ではありません。
育休取得をポジティブな機会ととらえ、業務遂行上のリスクにしない、なおかつ本人のキャリアの壁にしないために、組織は育休とどう向き合ったらよいのでしょうか?
今回の腹落ちセミナーでは、ビジネスメディアの編集長を務めながら育休を取得された経験を持つ野島氏をゲストに迎え、育休のリアルを知り尽くしたNOKIOOのスピーカー2名が「育休マネジメント」について語ります。